こちらは、多くのビジネスマンに共感を呼んでいる一冊です。
飲み会で会社の話ばかりする同僚たちに違和感を覚え、居場所を見つけられない20代。
部下と上司の板挟みになり、認められたいと熱望しつつも思うように会社の評価を得られない30代、40代。
この本を書く著者は、ざっと以下のような会社人生を送りました。
- 興味のなかった百貨店に入社
- 会社になじめない
- 働く意義を見出すまでに苦しむ
- ようやく仕事が面白くなって課長に抜擢
- 身を粉にして働いても会社から大した評価を得られない
- 思うように昇進が叶わず苦しむ
- 18年勤めた会社を去る
著者は、会社を辞めた時、多くの後悔をしたそうです。
今回は、20代の人がこれからの会社人生を後悔しないために、どのような行動をすればいいか考えていきましょう。
会社人生というゲーム
42歳のとき、著者はそれまで18年勤めた会社を辞めました。
周囲には、前向きな退社であることを強調したそうですが、本当は会社に居場所が見つからず、傷ついてボロボロになって会社を去ったのでした。
第一志望の業界でも会社でもなかった百貨店に、大学卒業後入社した著者は、作家になりたいという夢を捨てきれなかったため、会社の仕事に全力を傾けられるようになったのは30半ばにさしかかった頃でした。
そこから精一杯は働きましたが、出世競争に敗れてしまったのです。
著者はその現実を受け入れることができませんでした。
「会社人生」というゲームに勝てなかった著者。
では、なぜ著者はゲームに勝てなかったのでしょうか。
自身の経験をもとに、ゲームに勝つ方法を伝授してくれます。
著者は、「会社人生」というゲームからどうせ逃れられないのであれば、そのゲームに本気で参加してみればいいのだ、と読者に語りかけます。
著者の後悔
全力疾走すればよかった
著者にとって、会社はあくまで生活費のために働く場所でした。
著者と同じ考えの人は、多くいるのではないでしょうか。
向上心の高い人が毎日1%、前日より成長するために努力するとします。
すると、1年後には、1.01の365乗と試算すれば、1が38に。
1日の換算でいうと、小さな努力かもしれませんが、1年で考えると大きな差ですね。
これが長い会社員人生で、最初から全力疾走しないと、20年後、30年後にはその差が容赦なく大きくなってしまいます。
入社時に高いモチベーションを持たない人たちのほうが多数派かもしれません。
それでも、一刻も早く目の前の仕事に全力で取り組むことで、仕事の面白さも自分で引き出すことができると著者は語ります。
会社のカラーに反発しなければよかった
著者は、属している集団に望まれる人物像に反発を感じてしまうことが、自分の「悪い癖」だといいます。
入社してからは、周囲の同僚たちに強烈に違和感を覚えたそう。
- なぜ早く帰らず毎日酒を飲みに行くのか
- なぜ上司の愚痴や会社の暗い話ばかりするのか
- なぜつまらない自慢話を何度も繰り返すのか
- なぜ嫌な状況からさっさと逃げ出さないのか
こうした疑問は、内向的でプライドの高い若者の多くが感じるものかもしれません。
この違和感を見て、私もそのうちの1人だと感じました。
数年後に売り場のマネージャーになった著者は、徹底的に叩きのめされました。
十数人の部下をまとめられず、悩みぬいた末、マネージャーのすべきことをひとつずつ現場から学んだ。そしてようやく、百貨店の売り場がどのような力学で動いているのかを理解し、人それぞれの懸命な生き様を理解した。
入社から7年が過ぎていたその頃、ようやく会社に対する違和感がほとんどなくなっているのを感じたそう。
職場に対する強い違和感は、キャリアの浅いサラリーマンの多くが感じているもので、それはやがて消えていくものだと著者は言います。
思い上がらなければよかった
やがて課長になり、仕事が面白くなった頃、著者は仕事人間に生まれ変わっていました。
この時期会社は、会社にとって役に立つ人間の選別を始める時期。
しかし著者は、身につけてしまった尊大さから、
- 必要な承認の手順を飛ばす
- 上司に相談しないで独断で事を進める
- 納得できない指示には激しく抵抗
など、次のステップのために用意された新部署では、活躍できないことに鬱屈し、与えられたポストを柔軟にやり過ごすことができませんでした。
後に出世した人たちに共通として、著者は、
- 上司との距離感が絶妙
- 昇進するのは、「できる上に使いやすい人間」
- 最終的には、「トップのために自分の哲学や生き方を曲げる」ことができる
このような人が組織のなかで生き残ると語ります。
自分が正しいことをやっていて、
「それはいずれ組織でも認められるはずだ」
という思いは、ときに、思いと反対の方向に作用してしまうことがあります。
それは、組織は何らかの理由で「正しくない」ことをする必要もあるからです。
もし今会社で大活躍しているならば、自分の思い上がりに足元をすくわれることもあるということを覚えておかなければなりませんね。
もっと勉強しておけばよかった
必要なビジネススキルを身につけるよう、もっと努力すべきだった、と著者はいいます。
経営学や小売業、ビジネストレンドについての本は、ランダムに読んできた。しかし、本来は、それぞれの分野について、コアとなる教科書を読み、現実の世界の体験でそれを深めるような学び方をすべきだったのではないか。個々のビジネストレンドに踊らされず、必要なことを体系立てて学び、ビジネスをマクロに把握するための知識を育てる。
そうして身につけた知識を使って、自社のビジネスの重大な変化を予測し、どんなチャレンジが必要なのか見極めることができるような洞察力をつけることを、著者は読者に勧めています。
それから著者は、勉強すべきだったことのひとつに、スピーキング技術を挙げています。
「会社人生」というゲームを有利に進めるためには、文章力よりも口頭表現力が必要。
プレゼンテーションや会議の司会、議論などが苦手な人は、苦手なまま放置せず、積極的に学ぶとよいと著者はいいます。
人前で話すコツの関連記事を以下のリンクに貼っておきますので、良かったらそちらも合わせてご覧ください。

また、
- 英語
- プログラミング
- デザイン
これらスキルの勉強にも、もっと時間を割いておけばよかったと著者は後悔しています。
この三つのスキルは目新しくはありませんが、これらのスキルを合わせて身につけておくことで、いざという時に役立つものを学び、その複合技を自分の強みとすることを考えれば、フリーランスになって稼ぐことも可能になるからです。
まとめ
今回は、著書のほんの一部の後悔を紹介しました。
この他にも、
- ゴルフを始めワインをたしなめばよかった
- 信念なんてゴミ箱に捨てればよかった
- 周りの評価のために長時間働かなければよかった
など、著者の後悔が語られています。
これからの会社人生を後悔したくない20代は、是非読んでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コメント