「会社や仕事につぶされない働き方・休み方」の本によると、毎年300人のビジネスパーソンが過労による脳卒中・心筋梗塞などで死亡、あるいは闘病生活を送っているそうです。
この人数は、あくまでもこの数字は国が定める労災認定基準を満たした人の数です。
そのため、この他にも上記の症状を経験して苦労している人が多くいると考えられます。
また、その症状の予備軍に属する人はさらに多く存在するでしょう。
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- 会社が嫌で眠れない
- 寝ても疲れが取れない
- 休日も仕事のことが頭から離れない
など、過労になる前には必ず何らかの身体反応があります。
それに気づけば、うつ病を始めとする精神障害になる前に対策を立てられるはずだと著者は説いています。
今回は、
- 過労の症状
- 過労になりやすい人の特徴
- 過労になりやすい状況
上記のテーマで解説していきます。
過労とは?
過労とは、働き過ぎた末にたまった疲労がそのまま回復しない状態をさします。
- 精神的疲労
- 脳疲労
- 身体的疲労
の3種類に分かれます。
精神的疲労
精神的疲労は、プレッシャーや不安などを感じた際に生じる疲労です。
特に僕のような入社してまだ経験の若いような人はこの疲労のダメージが大きい印象があります。
そして、エネルギーを使い過ぎたときに待ち受けるのは「うつ病」です。
脳疲労
脳疲労も、うつ病を引き起こす要因となります。
脳疲労は脳を長時間使うことで生じるが、通常なら寝れば回復します。
しかし、疲労の度合いがひどくなり過ぎた場合、交感神経が過剰に働いて眠れなくなってしまいます。
最終的に体のエネルギーが枯渇してうつ病になってしまうという症状です。
身体的疲労
肉体労働からくる身体的疲労が原因の過労死もありますが、デスクワークが多い職場環境では、この精神的疲労、脳疲労の2つが絡み合い、同時に起きてます。
こうした3つの疲労がもとで命を落とすのが「過労死」です。
過労死の調査によると、過労の原因は大きく3つに分けられます。長時間労働、人間関係の悪化、仕事の内容、大事なのは、過労の兆候を見逃さないことです。
過労の事例
過労の具体的な事例は対処法を考える上で大変役に立ちます。過労の原因は先述したように、大きく分けて3つ。
- 長時間労働
- 人間関係
- 仕事の内容
まず最初に、長時間労働が原因の事例を紹介します。
事例1:長時間労働でうつ病
30代男性のA氏は、勤続10年で、上司からも顧客からも信頼が厚かった。係長に昇進後は、エリア全体の売上げを管理し、部下の面倒も見るようになった。それに伴い、月の残業時間は100時間をたびたび超えるようになっていた。やがて、疲れていても眠れない、夜中に起きる、仕事のことが頭から離れないといった症状が現れ始めた。
昇進から10ヶ月経つ頃、顧客との約束を忘れるなどのミスが増えるようになった。上司はA氏を心配し、「休んだほうがいい」と声をかけるも、A氏は聞かずに頑張り続けた。そしてついに、朝目覚めたときに体が動かなくなってしまった。結局そのまま長期休職となり、うつ病と診断された。
出典:茅嶋 康太郎
事例1に対する著者の見解
A氏の話によると、係長に昇進してからの仕事量は以前の倍以上だったそうです。
長時間労働による過労は真面目で優秀な人ほど陥りやすい特徴があります。
A氏は倒れてから1年後に復職しましたが、以前のような元気はありません。一体どうすれば、このような事態を避けられたのでしょうか。
著者が挙げる原因は、
- 仕事のやり方にこだわりを持ちすぎ
- 部下に仕事を任せられない
- 完璧主義
つまり、優秀だからこそゆえに、過労を起こしてしまったのです。
A氏には「一日の業務時間の範囲内で成果を出す」という、会社では当たり前の意識が欠けており、それが長時間労働につながったと著者は言います。
このように、自分の限界を超えてまで仕事を続けて燃え尽きたタイプのうつ病は、治りにくい傾向があります。また復職後の再発率も高いです。
対策
対策としては、自分のエネルギーの消耗と充電についてセンサーをもつことが有効となります。
疲労と回復のバランスを考えたときに、
- 疲労のほうが大きくなっていないか
- 先月と比較して今月の疲れはどうか
- 睡眠時間はどうか
上記の点を確認するようにしましょう。
事例2:人間関係のトラブル
次に紹介するのは、人間関係が過労の要因となった事例です。営業系の仕事をしていた30代女性D氏は、女性が多いチームで仕事を振り分ける取りまとめ役を任されていました。
営業系の仕事をしていた30代女性D氏は、女性が多いチームで仕事を振り分ける取りまとめ役を任されていた。しかし、仕事ができる人ばかりに難しい案件が集中したため、皆からの不平不満がD氏に集中した。状況について上司に相談したが、「君に任せたのだから」と助けてもらえなかった。
それから2ヶ月後、D氏は次第に体調を崩し始めた。さらに2ヶ月が経過したある日、仲の良かった同僚とトラブルが生じたのを境に、D氏は出社できなくなってしまった。「周りから見放された」「自分がどう思われているか考えると怖い」という思いから、眠れなくなったという。
病院を受診し、「適応障害」と診断された。7ヶ月の休職期間中は人が怖くて、外も出歩けない状態であった。その後リハビリを経て現在は復帰したものの、今は人とかかわらない雑用しかできていない。いまも人に対する不信感が抜けず、辛い日々を送っている。
出典:茅嶋 康太郎
事例2に対する著者の見解
職場の人間関係にまつわるメンタル不調を訴える人は非常に多いです。
人間関係が原因である場合、疲れだけでなく「心に毒が回る感じ」を体感しますよね。
人間関係によるメンタル不調の際に、適応障害と診断されるケースが多く、うつ病に似た症状が起きます。
今回のような事態を防ぐには、なによりもセルフケアが必要となります。
心が折れたとき、眠れないときこそ自分で自分を守らなければいけない。頼りにできる人が誰もいないと感じるときはなおさらです。
対策
そこで著者が提案する考え方は、以下です。
- 「すべては自分の責任ではない」
- 「人間はそもそも自分勝手だ」
- 「もう私は今の職務をおりる」
一見すると、責任から逃げているように感じられるかもしれません。
しかし、こう考えることで、重症になるほど追い詰められるのを防ぐことができるのです。
責任感から、仕事を投げ出せないという気持ちは感じてしまうかもしれません。
しかし、病気になってまでやらなければならない仕事などあるのだろうか。
取り返しがつかなくなる前に、一度問うべきです。
自分自身に対して厳しく、そして仕事に没入できるのは、心が健康だからこそできること。
弱っているときは、真っ先に自分の心を守る術を考えましょう。
まとめ
実際の事例を踏まえながら、過労の症状、そして過労の怖さについて紹介しました。
仕事のせいで自分の人生が台無しになってしまうなんて嫌ですよね。
上記の自分の身を守る考え方の他に、過労の症状を起こさないために最も重要なのは、睡眠であると著者はいいます。
質の高い睡眠をとるための方法にに関しては、以下のリンクで解説しているので、良かったらそちらも合わせてご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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